middle冬の定番商品wool crew neck sweaterを生産してくださっている工場長との打ち合わせ時のことです。国内のニット工場の現状について話しを伺いました。これは私たちだけで留めておくわけにはいかず多くの方に伝えなければいけないと思った話があります。
一昔前までは国内でニットの生産を行なっている工場は沢山あり活気があったそうです。しかし今ではそのほとんどが廃業し、工場長のお知り合いで今も残っている工場は関東方面で2軒だけとの事。
国産ニットを作る環境はどんどん厳しくなってきていて、先行きが全く見えず今後日本でニットを作る事は難しいかもしれない、とおっしゃっていました。
わかっているつもりではいましたが、工場長から直接話を聞いてこのままでは日本製のニットがなくなっしまうという危機感を肌で感じました。
国内の縫製工場で特に中小の工場はニットに限らず同じ状況が多く見られます。
どの工場さんも同じ話を聞かせてくれます。
賃金の低い地域での海外生産は技術も進歩していて品質も上がってきているのが現実です。
ブランドや会社を継続していくためには利益を守る事を優先させなければなりません。クオリティをある程度保つことができれば、コストを抑えて安価に生産出来る方へ流れていくのは仕方のないことなのかもしれません。
生地は国産のものを使用し縫製工賃を抑えるために海外生産というケースも多いです。
ニットは原料が安くないので、編み立て(縫製)工賃を抑えることで利益を確保しなければならない事もわかります。
しかしながら今まで日本人の職人さんが培ってきた素晴らしい日本の物作りは絶対に途絶えさせてはいけないと思います。それは縫製の事に限らず他の技術でも同じ事が言えます。
その素晴らしい日本の技術で作られる洋服は、安価には作り出せませんから値は張ると思います。しかしその分大切に扱い、もしも汚れてしまったときは丁寧にお手入れをして、永く着用出来るようにし愛情を注ぐのではないでしょうか。
今、国内のアパレル製品は約98%が海外から輸入されています。
日本は人口減少で国内のアパレル市場の伸びがあまり見込めないと言われていますが、一人一人が少し意識を変えるだけで守られる技術や想いがそこにはあると思います。
子供たちの代にもきちんと日本製のお洋服を残してあげたい。良いモノを手に取る喜びや身に付ける幸せ、そしてモノを大切に扱う心を残してあげたいと思います。まずは日本に住む多くの方にこの現実を知ってもらいたいと切に願っています。
今は安価な服が世の中に溢れてしまいアパレルの市場規模は縮小しているのに供給量は倍に増えています。
その売れ残った服はどうなるのでしょうか。売れ残りが焼却処分されゴミとなっていることはメディアでも大きく取り上げられています。
その事は地球規模の大きな問題となっています。
物事には色々な側面がありますが、継続可能な日本の社会にする為に工場長とのお話から私たちが感じた事を綴らせていただきました。
生活品の全てを日本製の物で揃える必要もないし、それは不可能に近いことだと思います。洋服もそうですが、アメリカ製やイタリア製など海外製には海外製の良さがあり、そして日本製には日本製の良さがある。
ただ、過剰な生産をしそれらが行き着く先なくゴミとなって処分されることには疑問を感じずにはいられません。必要な分を責任をもって生み出すことが大切なのではないかなと感じています。
作る人も着る人も売る人も、皆が幸せになるように。
確かな技術と想いを込めたものづくりをしてくださる工場の方々と共に、着倒すくらいに気に入っていただけるようなお洋服たちを、これからも作り続けていきたいと思っています。
Kenta