人にはそれぞれ、「なんだか好きだな」と思うお店があると思います。
お店に入ると気持ちが落ち着いたり、楽しくてまた行きたくなったりする場所です。
私にもそんなお店がいくつかあります。
福岡県篠栗町にある喫茶陶花さんとバーガートウカさんはそんなお店の一つです。
初めて喫茶陶花(敬称略)を訪れたのは、はっきり何年前かは覚えていませんが、今から15年以上前のことです。
当時の私は会社員で、妻とはまだ結婚する前でした。
妻も私も勤務先がシフト制だったので月に数回休みを合わせて、妻が行きたいところへ行くことがデートの定番でした。
洋服の事ばかりで食や住に無頓着だった私に、美味しいごはん屋さんやカフェ、コーヒー屋さんやインテリアや雑貨屋さんなどを教えてくれました。
今の私の興味関心の土台を作ってくれた時期だったと思います。
喫茶陶花もそんな妻のリクエストで行くことになりました。
福岡の中心部から車で40分くらい走り、少し山道を登ってお店に到着しました。
到着するとそこは一面に緑が広がり空気が心地が良く、当時は都会に住んでいたので旅行に来たような感覚でした。
そして崖の斜面に突き出すように建造された店舗の外観にあっと驚きました。
店舗入り口に続く階段を登り、扉を開けて店内に入った瞬間
「うわっここ好き!!」
と思いました。
妻が行きたい所に付き合ったはずなのに、自分がとても心地よかったのです。
窓から見える緑、店内のに差し込む自然光、置いてある雑誌、スタッフさんの雰囲気、全てに心がときめきました。
もちろん食事も美味しくて一気に喫茶陶花のファンになりました。
それから年月が流れ、勤めていた会社から独立。
middleを立ち上げました。
まさか自分がオリジナルブランドを立ち上げることになるとは、その頃は想像もしていませんでした。
そしてありがたいことにブランドを立ち上げて間もない頃、福岡市城南区にあるTOKOYATOKOOYAさんでPOP-UPイベント を開催させていただきました。
名も無い駆け出しブランドを快く受け入れてくださったオーナー都甲さんの懐の深さに感謝です。
私もそうなりたい!
話は戻り、そのイベントに喫茶陶花オーナーの村山さんが来てくださったのです。
村山さんは気さくでユーモアたっぷりでとても優しく、楽しくお話をさせていただきました。
その後偶然に別の場所でお会いする事があったりと、何度かお話をさせていただいてる内に、
「今度同じ敷地内にハンバーガー屋を始めるから、そこの二階でPOP-UPイベントをしない?」
と声をかけてくださいました。
まさかのお声がけでとても嬉しかったのを覚えています。
その後話は現実となり、2018年の7月にバーガートウカの2階でPOP-UPイベントをさせていただきました。
期間中は私たちも店頭に立ち、村山さんをはじめスタッフの皆さまがあたたかく受け入れてくださいました。
お陰で期間中はお店のスタッフのように過ごさせていただきました。
それはそれは楽しい出店になりました。
そして一緒にお仕事をする事で営業前や営業後を見る機会がありました。
お客さんとして訪れているだけでは見えなかった部分を見て、
そこで気付いたことがあります。
それは、村山さんが徹底して掃除をしていることでした。
些細な汚れも見逃さずにいつもきれいにされていて、
お客さんが気付かないような場所まで、しっかりとお掃除をされていました。
トイレをピカピカに磨き、洗面台には一滴の水も残っていませんでした。
それを見て、私はわかったのです。
あのお店の居心地の良さは、こういう積み重ねから生まれているのだと。
私が15年以上前に感じた「なんだか好き」という感覚。
その正体の大もとは、村山さんの徹底した掃除だったのだと思いました。
もちろん好きな理由は綺麗な店内という事だけではありませんが、その事がお店の空気感に現われているのだと感じました。
掃除が行き届いていると空間の空気感が変わります。
喫茶陶花とバーガートウカには凛とした空気があります。
緊張するわけではないけれど、どこか背筋が伸びるような空気です。
静かで落ち着いていて、気持ちが整うような空間です。
私はその空気感が好きだったのだと思います。
お店にはスタッフの対応やメニューなどの商品構成、内装や什器、ディスプレイなど、大切なことが山のようにあります。
でも本当に大切なのは、目に見えない部分にあると思います。
16年以上前の私は、その理由を明確に説明することはできませんでしたが、
確かに感じていた「心地よさ」
その感覚の答え合わせができたように思います。
先日久しぶりに陶花さんへお邪魔して、改めて感じたことでした。
かっこいい先輩が、いつも襟を正してくれます。
Kenta