小さな販売員

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週末のmiddleには小さな販売員がいます。

とにかく何でも自分でやりたがる好奇心いっぱいの女の子です。

 

ぼくたちはお店に出勤したらまず掃除をします。掃除機で店内のゴミを吸ってお店の前の通路の掃き掃除、窓や鏡を拭いたりお花のお水を変えたり、朝の掃除にはいつもの流れがあります。初めは興味を示さなかった小さな彼女も、今ではどの仕事も彼女なりのやり方で手伝ってくれます。

急いでいたりこちらに余裕がないとついつい「手伝わないで!!」と思ってしまいますが、そんなことは彼女には関係ありません。何が何でも自分のやり方を貫く、強い意志の持ち主です。

今よりももっと小さい頃は、掃除機の音によく泣いていたのですが、最近は一人でも掃除機を使えるようになりました。ただお店で使っているスティックタイプの掃除機は彼女には重たいようで、数秒ささっと掃除機をかけたら「終わった」と言ってぼくに渡してきます。その時の余裕がない真剣な顔からみて、彼女には相当重たいと推測できます。

そして自分よりも大きな箒を使い(使われて??)、落ちているゴミや葉っぱを大雑把に集めます。しかし彼女はとにかく注意力が散漫なので、虫がいたり気になることが見つかると、箒もちり取も投げ飛ばして自分の趣くままに突っ走ります。

彼女はちり取り当番なので、ゴミを集め終わるぼくを今か今かと待ち構えています。ちり取を使うときに先が地面についていないので、せっかく集めたゴミがちり取の下を通過して、結果いつもゴミを撒き散らします。

彼女は鏡拭きも得意です。いつもウェットティッシュをおもむろに取り出して鏡を拭くので、水垢のようなものが鏡に残ります。「お客さんが来るけん」と言いながら一生懸命に拭いている姿から、仕事への情熱は非常に高いようです。

そんな愉快な朝の掃除の時間は1人で掃除をする時の3倍は時間がかかりますが、掛け替えのない大切な大切な時間だと感じています。

 

 

掃除が終わると彼女の電池は切れてしまうので、いつも早めにお昼休憩を取ります。目の前が公園なので、晴れた日はお昼ご飯を公園で食べます。好きなものだけ食べるクセがあるので満遍なく食べさせるのに苦労しますが、だいたいはいつも残さずに完食します。完食が彼女のモットーなのです。

 

お店のOPEN中は店内の洋服のたたみ直しもします(KID’SのTシャツ限定ですが)。まだ練習中なので綺麗にたためないですが、一つ一つの動作はしっかりと覚えています。途中でうまくいかなくなると「父ちゃんがやって!」と仕事を丸投げしてきますが、小さな体で不器用に洋服をたたむ姿はとても愛らしく、なんでもやってあげたくなります。

 

ディスプレイ替えも慣れたもので、帽子の並べ方や、靴の配置換えなど、凡人のぼくには思いつかないエキセントリックなディスプレイを作ってくれます。ただそのディスプレイは「ぐちゃぐちゃ」と紙一重なので、彼女が忘れた頃にこっそりと元の配置へと戻します。こっそりと戻したことを忘れた頃に見返すと、またエキセントリックなディスプレイに戻っていることもあり、そんな時はイタチごっこを繰り返します。

 

店内にお客様がいないときは一人で元気に「いらっしゃいませ〜」と発声練習をしています。そして「何が欲しいですか〜?」とそのあとのお声がけまで入念に練習しています。しかしいざお客さまが来ると何も言えずに、ぼくや妻の後ろに隠れていくかなりの内弁慶っぷりを発揮します。そしてその後はたいがい抱っこをせがむので、ぼくがお客様とお話しする時は抱っこをしながらの接客をすることが多いのです。

 

そんな彼女をお店に来てくれたお客さまはたいへん可愛がってくれます。一緒に遊んでくれたり、彼女の無茶振りに笑顔で答えてくれたり、時にはおやつをいただいたりと、小さな子供がお店番をしている事を温かく見守ってくれます。大人の世界に小さな彼女を受け入れてくれています。

 

子供の育つの環境は、その後の人生に大きな影響を与えると思います。まだ幼い彼女は今のこの生活を忘れてしまうかもしれないけれど、沢山の人に可愛がってもらい遊んでもらい、名前を覚えてもらっている事は彼女にとって大切な財産になるはずです。

生まれてくる環境は自分では選べないけれど、ぼくたちの子供として生まれてきた事には意味があるのだと、そう思います。

 

自由奔放な小さな販売員は、今週末もお客さまを待っています。